今、注目されている資格に「相続士」という資格があります。「相続士」ーあまり聞き慣れない資格ですが、平成23年12月に出来たばかりの資格なので、まだメジャーにはなっていません。ただ、今後の相続税制の状況を考えると、実は非常に世の中から求められている資格でもあるのです。今回はこの「相続士」について、チェックをしてみようと思います。
相続=もめるというイメージ
相続というと、もめるというイメージがありますよね。それは亡くなった人が、ものすごい資産家だったら、誰がその相続を受けるのかとか、亡くなった人が、遺書を残していて、自分だけ多く相続できなかったとか、色々とありますし、イメージ的には人間関係が悪くなるようなドロドロとした印象があります。
専門家が係る相続の業務とは
本来相続ということになると、プロフェッショナルといわれる人たちが多く関わってきます。弁護士や税理士、司法書士や行政書士などが一般的に相続の業務に立ち会うことが多いです。具体的には
- 弁護士が係る相続業務
- 相続トラブルの相談を受ける
- 遺産分割の調停
- 遺言書作成の助言
- 税理士が係る相続業務
- 相続税に関する相談
- 相続税の申告業務
- 相続財産の評価
- その他税法上の相談
- 司法書士が係る相続業務
- 不動産の名義変更登記
- 不動産の生前贈与の登記
- 遺言書作成の助言
- 行政書士が係る相続業務
- 遺言書作成の助言
といったところです。
相続士が担う業務
相続士が受け持つ業務というのは、こういった雑多な相続業務について依頼者からきちんとヒアリングをして、それぞれの専門家にスムーズに橋渡しをする役目を担います。
従来は、直接相談者がそれぞれの専門家に対して、相談をしていたわけですが、遺言に関して税理士に聞いても、深くは対応できないでしょうし、また、相続税の件について、弁護士に聞いてもわからず、そのあたりの雑多な業務を専門家に一元化し、上手にコーディネイトをするニーズというのは以前からあり、その役割を担うものとして、相続士という資格が生まれました。
相続士の需要はあるのか
この相続の業務と言うのは、非常に需要がありまして、一つは遺産分割事件の件数が、この20年で2.3倍に増えているという事実があります。また、少子高齢化が進むことで、当然相続の案件は今後も増え続ける傾向にあり、そうすると、しっかりしたコーディネイターがいないと、専門家である弁護士や税理士なども対応が難しくなっているという現状もあります。
このように相続というのは、1人の方が亡くなり、その人が莫大な資産を持っていた場合に、残された人たちは色々な思いがありますよね。でも、大きなお金が動いたりした場合には、理性がなくなってしまうこともしばしばです。それは相続を受けるほうが、きちんとした準備をしていないということも大きいのです。相続士の仕事は、そういうトラブルがないように、きちんと専門家との橋渡しをすることですから、今後は従来のようなトラブルも減る事を期待したい所です。