相続については、信託銀行などが目の色を変えるくらいに、しっかり対応するほど金融機関とは切っても切れないところがあります。というのは、相続というのは財産だけではなく借財も引き継ぐ形になりますので、例えばアパートや事業ビルなど収益不動産を購入する場合に、銀行から融資を受けて購入すると、その借金も相続をしますが、賃料収入の利回りが高ければ(収益不動産の利回りというのは、不動産を取得した費用を家賃の年間収入で割った際の利回りのことをいいます)借金も相続しますが、実際には、銀行の借り入れ利息よりも家賃収入のほうが上回っている場合には、実質の負担がゼロになりますので、よく金融機関は収益不動産を相続対策として薦めます。

一般的には相続税は発生しません

ただ、自分の場合はそういう不動産も持っていないし、預金もそれほど多くもないので、相続税は関係ないという人もいます。たしかに資産がそれほど多くなければ、相続税は課税されません。それはどういう意味かというと、相続税には課税されるというケースですが、通常相続税には「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」という非課税枠があります。これはどういう意味かというと、例えば、Aさんには奥さんと二人の子供がいた場合には、Aさんの資産を相続する人は、3人になります。そうしますと、この相続税の非課税枠に当てはめてみると、Aさんの場合は、5,000万円+1,000万円✕3人=8,000万円には相続税がかからないということです。つまり、Aさんの資産が1,0000万円ある場合には非課税枠が8,000万円なので、それを差し引くと2,000万円が相続税の対象ということなります。また、Aさんの資産が7,500万円である場合には、非課税枠が8,000万円のため、相続税はかかりません。このことから、実際に相続税について悩んでいる人というのは、相当の資産家くらいなもので、一般的な家庭では相続税に対して、心配をすることはほとんどありません。

しかし相続でもめる

ところが、遺産が非課税枠以内のため相続税がかからない場合でも、裁判所に対して相続の問題が持ち込まれる件数が毎年10万件以上もあると言う現実があります。つまり、自分の遺産を巡ってもめることはないと思っているのは本人だけ、実際にはそれほど大きな金額ではないにもかかわらず、トラブルが発生しているということです。したがって、終活においても、相続と言うものをしっかり見据えて、対策を取る必要があります。

相続でもめないようにするためには

では相続でもめないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか。通常、相続で相続人同士揉める原因は何かというと、相続内容が不透明であるため、相続人が疑心暗鬼に陥るからです。この場合の疑心暗鬼は、相続内容が不平等であるということから起きることが多く、そのため相続人同士において不信感が芽生えてしまい、結果もめごとになってしまうのです。そういうことが起きないためには、被相続人が自分の遺産について遺産目録を作ることで、遺産の状況を明確にして、遺言状で遺産の分け方を明示しておく必要があります。ただ、遺言状においても内容が不孝変であった場合には、相続人を刺激しますので、遺言状を作成する場合には、法定同族人遺留分を配慮した形にして、できるだけ相続人の人たちを刺激しないようにしておきましょう。

やはり相続で大事なことは被相続人同士が遺産争いなどでもめないようにすることです。そのためには、遺族同士がもないようにするために遺言状には配慮する必要があります。公正証書などで遺言状は効力があるにしても、遺族への配慮が欠けてしまうと、遺留分減殺請求などが起こって新たなトラブルが発生するとも限りません。したがって、相続ではそういうトラブルがおきないようにあらかじめ弁護士などと相談をして準備をするというやり方が一番トラブルが起きない方法だと言えます。