財産をたくさん持っている人が亡くなった場合には、その財産の経済価値に対して課税されるのが相続税です。この相続税の金額を軽減する方法の一つに生前相続と言う方法があり、これは財産を多く持っている人が生きている間に被相続人である配偶者や子供などに財産を譲ることで、相続税を軽減することが可能です。ただし、こちらも普通に生前相続をしても、相続税よりも高額の贈与税を課税されることになりますので、ある程度知識と工夫が必要です。

この場合ある程度の知識と工夫と言うのは、贈与税には6つの特例がありますので、それをしっかり把握して、上手に節税をしましょう。この場合これから対応することは、節税であって脱税ではありません。脱税は脱法行為になりますので、当局から告発されますが、節税は法律に基づいて合法的に支払う税金を抑えるということになります。

では、贈与税の特例についてご説明をします。贈与税の6つの特例は次のとおりです。

  • 基礎控除
  • 相続時精算課税の特例
  • 住宅取得資金贈与の特例
  • 夫婦間贈与の特例
  • 教育資金贈与の特例
  • 結婚子育て資金贈与の特例

基礎控除

税法においては、1年で110万円以下の金額の贈与を受けた場合には贈与税は課税されません。ただし、毎年同じ相手から同じ金額の贈与を受け取り続けていると、税務署から多額の贈与を毎年分割して行っているとみなされてしまうカノ生があります。この場合贈与税の納付を求められる可能性がありますので、注意が必要です。

相続時精算課税の特例

60歳以上の親、あるいは祖父母から20歳以上の子供や孫に対する贈与金額が2500万円までは非課税となります。この場合対象となるものが、すべての金融財産です。つまり、お金でも不動産でも全く同様の取扱となります。なお、2500万円を超えた部分については一律20%の贈与税が課税されます。

住宅取得資金贈与の特例

自分たちが住む住宅を購入する場合にその購入資金を親や祖父母から贈与を受けた場合に、3000万円までの贈与は非課税となります。これは家を購入しやすくするための制度で、一般的に給与による収入や貯蓄金額が減っている傾向がある一方で、不動産は緩やかながら価格が上昇しているということもあり、不動産取得が難しい経済状況において、贈与税を非課税にすることで、親等が自分の子どもたちに住宅資金を贈与しやすくすることで、持ち家を促進するという考え方が背景にあります。

夫婦間贈与の特例

婚姻期間が20年を超えている夫婦間において不動産の贈与をする場合に2000万円までが非課税とする制度です。ただし、この特例には条件があり、まず同じ相手に対して一度しか出来ないということと、贈与を受けた不動産に住み続ける事が必要です。つまり贈与を受けた不動産の使用方法はあくまでも実需で、賃貸などに出して収益を得ることはできません。

教育資金贈与の特例

30歳未満の子供や孫に対して教育資金として贈与した場合に1500万円までは非課税になります。この場合対象となるのは、学校に支払われる入学金、授業料、給食費等などです。こちらで注意をしないといけないのは、贈与を受けた子供や孫が30歳になった時に、贈与された金額が残っている場合にはその残額に対して贈与税が課税されるということです。

結婚子育て資金贈与の特例

子供や孫が結婚をして、更に子供が生まれる場合には大きなお金がかかりますが、こちらも親や祖父母から20歳から49歳までの子供に対して、1000万円までの結婚・子育て資金が非課税になります。なお、結婚資金だけの場合は300万円までが非課税となります。結婚費用に該当するものは、結婚式や結納、結婚した場合にかかる引越し費用となります。また、子育て資金としては、妊娠や出産や不妊治療にかかる費用と子供の医療や保育にかかる費用が該当します。